あなたの言葉が、昨日と今日でころりと変わるのを、恐ろしいと思った。
昨日信じた言葉が、今日にはなかったことにされる。
明日には何が待っているのかと思うと、ますます「今日こそ信じていいの?」と聞きたくなってしまう。
「うん、今日こそ」
その言葉が、明日には失望に変わることを知っているから、「本当に? 本当に?」と確かめてしまう。
でも、今ならわかる気がする。
あなたも、波にのまれていたんだね。
決して「嘘をついた」つもりはなくて、「そのときは、そう信じているけれど、時間が経てば気持ちが変わってしまう」という波に、翻弄されていたんだ。
ごめんね。
波に溺れそうな時には、一瞬先のことだって考えられないよね。
気付けなくてごめん。
必要なことは、「私まで一緒に溺れない」ということだったんだと思う。
あなたの気持ちを確かめることは、ますますあなたを沖のほうへと追いやる行為だったんだね。
私は自分の身の安全を確保しながら、あなたが助けを求めてきたときには、波間から助けられるように、しておくことが大切だったんだ。
あれから、何年も時間が経った。
もう取り返しはつかないし、あなたを許せるかと言われたら、やっぱり難しい。
ただ「あなたも苦しかったんだ」ということ、「苦しさがそうさせたんだ」ということだけは、今ならわかる。
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