私が文筆業として開業届を提出したとき、
「実力があるかもわからない。編集用語だってきちんと理解しているとは言えない。どうせすぐ、壁にぶち当たる」
と思っていた。
だから、国税庁ホームページで「個人事業の開廃業等届出書」「青色申告承認申請書」をダウンロードしプリントアウトしたとき、「廃業時の分も」と考え、「個人事業の開業・廃業等届出書」をもう1組、そして「青色申告の取りやめ届出書」もプリントアウトした。
初めから廃業するつもりで開業する、というのは不謹慎かもしれない。
でも、独り立ちする話があまりにも急なもので、頭が真っ白になって進めないでいた私は、ある人の
「うまくいかなかったとして、失うものがあるのか?」
という言葉に勇気づけられた。
その言葉を、自分の手で形にしておくことで、前に進めるような気がしたのだ。
あれから年月が流れ、ふと「あのとき廃業準備のために用意した書類はどこにいったか?」と探してみたけれど、もう見つからなかった。
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