数年前、知人Aの母親が腰を傷めたことがある。歩行も大変だったし、トイレに行くのも、人の手を借りることがあった。掃除や食事の用意も困難となった。
Aに「Aの母親のために、ご飯を作るタイミングを考えなければいけないね」と私が言うと、Aは「ご飯が作れないなら、コンビニにでも買いに行けばいいじゃない」と言った。
あんたはどんだけ、意地が悪いんだ。台所に立つのも困難な人間に「コンビニに行け」なんて、よく言えるわ。
「パンがないならお菓子を食べれば・・・」という発想ですか?
あのときの「怒りに燃える」という感覚は、今もおぼえている。Aの母親の気持ちを思うと、悔しくて、悔しくて、歯を食いしばりながら涙を流したのを、憶えている。
今思えば、Aは単なる「考えずに物をいう人」「とんちんかんな人」だったのかもしれない。
あるいは「病気になったり、怪我をしたりした人の気持ちは、なってみないとわからない」ということ、なのだろうか?
-----ここまでが、前説。
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