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普通の日はないんですか!?

「大きな波に流されるのでも、逆らうのでもなく、波に乗って進みなさい」と、教えてくれたのはあなたでしたね。

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もっと話したかった

退院の日の朝、S先生が来てくださった。

「おはよう!」
「あぁ、S先生、おはようぅう!」

「退院なんやって? 良かったな」
「はい。お世話になりました」

「Mは今日から学会でな」
「うん、昨日、夕方に会ったんですよ。M先生、連休もずっと来てはったし、椅子に座るときに『ふぃ~』って言ってはった。M先生は、大丈夫って言ってはったけど、手とかめっちゃ熱くなってるし。無理してはるんちゃうんですか?」
「うん、してるやろな」

「あの、Z先生は素敵な先生やった」
「うん。言ったやろ? 『かわいい』って」

「かわいい」ってそういう意味やったんですね。。。


同室の患者さんと、別れを惜しみながら話しているうちに、退院の時刻が近づき、Z先生が来て下さった。

「先生、愛の手紙を書きましたので受け取ってください」
「愛の手紙。ありがとう。後で読ませてもらうね。傷口は……いい感じですね。あのね、傷そのものはこれからも綺麗になっていくと思うんですわ。ただ、(傷を留めてある)ボンドが、ちょっと汚れて来るかもしれへん。でも、大丈夫ですから。また外来、来てね」
「ありがとうござました」

父に迎えに来てもらい、支払いを済ませて帰宅する。


なぜか「もっと話したかった」と思った。

私は、仕事のこと、勉強のこと、そのほかいろいろなことを、一人で考えたかった。だから、入院する事実はほとんど誰にも伝えなかった。

実際に入院すると、一人で過ごす時間はいっぱいあった。
でも、Z先生とはほぼ毎日会えたし、M先生やS先生も気を遣って声をかけてくれたし、同室の人たちとすっかり仲良くなって、たくさん話したとも思う。

でも、病院を出るときに、
「Z先生ともっと話したかった」
「S先生やM先生に、仕事のことやそのほか色々なこと、話しておけばよかった」
って、なぜか強く思ったのだ。
別に「もう会えない」というわけじゃないのに。

数か月前には、
「S先生の前から、消えたほうがいいですよね」
って言っていたこともあるのに、私は勝手な人間だ。


同室の患者さんとは、入退院の時期が重なっていたから、
「家帰ったら、家事が溜まってても、無理せんとこ。適当にしてたって、暮らせるんやから」
って話していた。

でも、人間の心って思い通りにならない。
「今日は、ここだけ掃除する。それ以外はしない!」
って決めていたのに、いったん掃除を始めたら、全部やらないと気がすまなくなって、結局、溜まってた家事を一気に片付けた。

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「治ゆ」

医学用語とか日常用語の「治癒」ではなく、労災保険の関係で使われる「治ゆ」という言葉は、パソコンで漢字変換するのが超めんどくさい。

辞書登録してしまおう。

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病院で「しょうかき」と言えば

かつて私は、ABC消火器に充てんされている粉末を吸い込んで、咳喘息になった。開業医の先生のもとで、1年近く治療を受け続けて、やっと咳が止まった。しかし、後に気管支喘息の症状が出るようになった。

さて、病院で「しょうかき」と言った場合、「消化器」のことを言っていると、ほとんどの人は思うだろう。

手術当日の朝、手術室の看護師さんが訪ねて来てくださったときのこと。

「喘息と診断されたことは、ありますか?」
「はい、ありますが、現在はほとんど症状がありません」

「何かにアレルギーを起こした経験はありますか?」
いくつかの経験を答える。

「薬剤のほかに、何かアレルギーを起こしたことはありますか? 食べ物とか……」
「あの、『しょうかき』ってありますよね」
「……? えっと、消化器って範囲が広……」

そうなりますよね。。。。

「その消化器ではなく、火を消す消火器なんです」
「あ、はい」
「その中身を吸い込んで、咳喘息になって、その後、気管支喘息になったんですよ」
「なるほど、そうだったんですね」

私たち患者は、主に外回りの看護師さんと話すことになるし、患者の体に触れるのも外回りの看護師さんなので、その人の印象のほうが強いのは確かだ。

でも、私が手術室に行ったときは、器械出しの看護師さんの動きが忍者みたいだった(失礼でしたら謝ります、ごめんなさい)ことが、印象に残っている。ハキハキした印象の外回りの方に比べたら、器械出しの方は優しくておとなしい感じだったけれど、物の間を縫うようにして、さりげなく、すばやく動かれていた、その動きを今もおぼえている。

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術前説明

入院した日、荷物を整理してベッドに腰掛けて一息ついていたら、Z先生が来てくださった。

「今から話しましょうか。一人で大丈夫かな?」

面談できる部屋に連れて行ってくださり、病気のこと、手術のやり方のこと、術後の予想、手術に伴うリスクなどお話しくださった。

エコーの画面を先生が閉じる寸前に、思わず言ってしまった。
「あの、撮影していいですか?」
「はい? え?」

Z先生はかなりびっくりして、私の顔を見られた。

「あの、せっかくのエコー……」
「この画面を、ですか?」
「はい!」

素早くデジカメを取り出す。

「ちょっと待って。もっとえぇ画面撮っといたら? えぇの探しますから待ってねぇ」
「ありがとうございますっ!」

実は、術前検査結果をS先生がチェックしてくれはったときも、私は胸部レントゲンの画面を撮影させてもらった。
S先生と私の間には了解があるけど、それを見ていた看護師さんは、爆笑してはった。

「よし、この画面、撮っといたら?」

かしゃ!

「あー、蛍光灯が入るなぁ。画面の角度、変えるからもう一回どうぞ!」
「ありがとうございますっ!」

かしゃ!

「おぉ、今度はいけましたね」
「ありがとうございますっ!」

私はZ先生が好きになった。

「あの、前なんですけど」
「はい」
「『目が点になった』って言うてはったって、S先生から聞きました。ごめんなさい」
「僕が『目が点に』ってことですか?」
「あの、M先生のことで」
「あぁ! 知らんかったもんでねぇ」
「すいませんでした」
「いえ、いいんですけどね」
「M先生は、私が体重44キロしかなくなったとき、気付いてすごい怒られて、今、それから8キロ増えたんです!」
「……」

それを、説明する必要があるのか、自分?

「すいません」
「いえ、いいんですけどね」

Z先生は心が広い。

「後でエコーをしたいんで、また呼びに行きますね」

手術前、最後となるシャワーを浴びて、水も滴るいい女になってから、Z先生にエコーの部屋へ呼ばれた。

「傍乳輪切開でいけそうやけどなぁ」

Z先生は、画面が私に見えやすいように、たびたび画面を動かしてくれた。
術前説明のとき、エコーや他の検査結果などの画面を、興味津々で見つめていた私に、Z先生は気を遣ってくださったのかもしれない。

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「『最後に』って言わないで!」

T先生に
「S先生のところへ、行かないほうがいいかもしれない」
と言って、怒られていた頃、他でも同じようなことをしてしまっていた。

それは同じ今年の3月頃のこと。
K先生は、ちゃんと治療をしてくれていて、現にメニエール病の症状そのものは止まっている。
私が元気になれないのは、他の領域のことが原因であって、K先生には何の責任もないのに、時間と労力を費やしてもらって、申し訳ない。

そういう気持ちを、K先生にぶつけては、なだめて頂いていた。

3月にK先生の診察に行ったとき、動悸と息切れがひどくて、肩で息をしていて、
「……今も、呼吸が整ってないように感じるんやけど」
と、K先生に心配された。

「消えたほうがいいかもしれない」と思い詰めていた自分が、
「じゃあ、最後に……」
と言ったとき、K先生が
「『最後に』って言わないで! はっきり言って怖いからね!」
と言わはった。

私はそのとき、
「最後に……をして欲しい」
とお願いしたのだけれど、
「やめときましょう。次にしよう」
と言ってくれた。

そのあと、頑張って冗談を言ったり、頑張って笑ったりした自分の努力を、K先生はちゃんと評価してくれはった。

「人に迷惑をかけるから、消えたほうがいい」という考えに取りつかれていた自分。
「人のために。迷惑をかけないために」って言いながら、結局は自分の考えしか見えていなかったのだ。

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