耳鼻科へいった。
「調子はどうでしたか?」
「全体的にはよかった。ただ一回だけ、喘息の先生のところへ行ったとき、大きな音が急に聞こえてリクルートメント現象が起こってしまい、あまりにびっくりするほどやったんで、パニック障害になってしまって」
その日のことは →
http://www.mypress.jp/v2_writers/fuyuu_no_mimi/story/?story_id=1856755具体的に何の音だったのかを話すと
「あぁ、それはもろにリクルートメント現象(音の補充現象)の起こる周波数ですね」
「そうなんですか?」
「そうですねぇ。初めてだったら、びっくりしたねぇ。ただリクルートメント現象自体はすぐ治まるんで、大丈夫ですから」
「はい、ありがとうございます」
「イソバイド、どうしましょうか? 今のペースで飲みますか?」
「はい、あの、婦人科のほうでホルモン剤を使っていまして、無排卵だったことや、PMSのこととかあって。ホルモン剤は、体がむくみがちになるんです。2キロくらい体重増えることもあるんです。それで、イソバイドを飲んでいたいなぁって思います」
「わかりました、じゃあ、1ヶ月後にまた来てくださいね」
今日もありがとうございました。ぺこり。
診察室を出て中待合を通り抜け、ほかの患者さんを見たとき「私はあまりにも無神経だったのではないか?」と思った。
耳鼻科はほかの科と違って、カーテンもパーティションもなく、診察室がはっきり区切られていない。聴力の悪い人が多いわけだから、大声で会話をすることになるし、中待合まで先生と患者の会話は筒抜けだ。
私は「先生と会話をしている」という認識で、必要な情報はけっこう平気で言ってしまっている。たとえば、リクルートメント現象がきっかけでパニック障害を起こしただの、排卵がないだの、ホルモン剤で2キロもむくんでしまうだの。今日だけではなく、ほかのときに薬剤にアレルギーを起こした話を、けっこう詳細に語ったこともある。
問題は、耳鼻科にきている患者さんは、そんな単語を聞かされると思ってない、ということだ。私が「聞かれて恥ずかしい」ということではない。「私にとっては普通、日常だから」と、インパクトの強い病名や症状をそのまま話してしまうと、衝撃を受ける患者さんもいるかもしれない、ということ。
そんな簡単なことに、今まで気づかなかった私は、無神経なんじゃないかと思えた。
先生に伝えたいことがあっても、ほかの病名、インパクトの強い症状などは、喘息手帳の記述を見せるなど、工夫したほうがいいのかもしれない。
[0回]
PR