術後3日目は、土曜日だった。
M先生が出勤されていて、ずいぶん疲れている様子だった。
私が、エレベーターの前あたりで本を読んでいたら、M先生が声をかけてくれた。
「いつまで居てるん?」
「あ、はよ帰って欲しいんや(笑)?」
「いや、暇やろなぁと思って」
「勉強してるから、大丈夫やねん」
「そうか。頑張ってな」
「あ、新しいイケメン見つけた!」
「どこで見つけてくんねん(呆)」
ガラケーの待ち受け画面を見せる。
「……ホストみたい」
「これ、ホストの役をしてるときの写真やねん」
「役?」
「俳優さんやねん」
「まぁ、イケメン好きで幸せなら、それでもえぇけどな(笑)」
「うん、幸せ!」
「そうや。火曜日って、まだ居てるか?」
「火曜日?」
「うん。S先生が帰ってくるの、火曜日やねん。聞いてない?」
「S先生からは、それ聞いたんですよ。まだZ先生から、いつ退院とは言われてないけど、もともと手術後1週間やから、部長回診の日に会えるかなっては、言われてた」
「そうか」
「先生、休めないの?」
「うん、ちょっとな。重症の患者さんおるからな」
「目の下、真っ黒になってるし、大丈夫なん?」
「大丈夫、大丈夫。これはもとの色や(笑)」
「今も、S先生と愛し合ってるやろ?」
「……ふっ……ふっ……まぁ、ゆっくり休んでいき」
M先生は、連休もろくに休めず、本当に大変やったと思う。
私にとってM先生は最高のイケメンだ。
[0回]