当初は「入退院のときの記録をあえて書こう」という意識はなかった。
耳鼻科のK先生は、
「普段、隠している部位の写真を、わざわざホームページなんかで見せると、ふゆうさんの意図はどうであれ、変な受け取り方をされるリスクのほうが大きい」
とおっしゃっていて、私もそう思っていた。
それに、乳房の手術を受けた人は、内リンパ嚢開放術を受けた人にくらべてたくさんいるだろうから、私が書かなくても「情報がない」と困る人は、まぁいないだろう。
それでも、今こうして書いているのは、「書くのが楽しいから」という理由だけだ。
麻酔から覚めてZ先生を探した時の気持ちや、術後すぐにM先生と会えた時のこと、部長回診の朝にS先生とM先生と私、11年ぶりに三人一緒に会えたこと。もちろんZ先生も一緒だったけれど。
そういう部分が、自分の中にキラキラ輝く思い出として残っていて、それを文章にすることが楽しくてたまらない。
だから、医療情報としての価値はあまりないと思うけれど、ただ「楽しかった」ということを書いておくことにした。
退院後3カ月も経って、なぜそういう気持ちになったのか。
私にはわからなくても、神様にはちゃんとわかっている。
いつか「あのとき、書いておいてよかった」と思えるときが来るんだろう。
耳の手術の記録が、そう思わせてくれたように。
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