外科のS先生と話す。
「胃のほうはそれでよいとして、他になんか・・・」
「乳房(注:「にゅうぼう」って読んでくださいね)、へんな痣みたいのが、広がってるんですよ」
「痣? ・・・ちょっと横になってもらおうか・・・」
「これねぇ、皮下出血やわ。どっかで打撲したこととかない?」
「打撲?」
「うん、打撲したときの内出血が、とれていくときの痣やわ」
「打撲?」
「うん」
「乳房を?」
「うん」
「
乳房を打撲って、どうやってするの?」
「
普通に打ったらいいやん」
「そんなん、変態ちっくな趣味とかないと、できへんやん」
「いや、あるよ・・・。あぁ、そうか、ふゆうは女性やからなぁ・・・」
「
女性やから変態ちっくな・・・」
「そうやなくて、僕が胸を打ったって言っても、変な感じせんやろ? 車を運転しとって、胸を打ちましたっていうのとか、なんかスポーツ中に打ちましたとか」
「うん」
「女性が乳房を打撲っていうのとは、感じが違うやろ」
「はい」
「まぁ、打撲したらさすがにおぼえてるやろうから、そうじゃなくて・・・。なんらかの理由で、たとえば乳房の中の血管が切れてしまったとかで、こういう風になること、あるんやわ」
「・・・そうですか」
「そういうとき、初めのうちはね、黄色っぽくなったり、白くなったりするねん。さわったら固くなってたり」
「はい」
「ふゆうが、たまたま精神症状の出てた時期やから、そこまで注意を払ってられへんかったんやろ。で、その間に、こういう風に変色したんやろうな」
「そうですか」
「痒くなったりも、したと思うねんけどな」
「した、した!! 痒かった時期がある、確かに!!」
「うーん、症状ははっきりしてて、打撲した覚えはない・・・」
「あの、当たり屋の人が、ビタミン剤を皮下に注射して、打撲っぽい痕に見えるように細工したり・・・」
「ほぉ、そんなんすんの? でもやってないよな?」
「当たり屋を?」
「うん」
「やってないよ(笑)」
「まぁ、当たり屋行為をしたっていう事実があれば、おぼえてるわな(笑)」
「うん(笑)」
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