M先生の検査に行った。
座って勉強していたら、M先生が通った。
「おはよう」
「おはようございます」
「S先生から聞いてるから、ちょっと待っててな」
順番が来て、荷物をロッカーに入れたり、喉の麻酔をしたりしてから内視鏡の台へ行く。
台に寝て、点滴を入れてもらう。
看護師さんに、S先生とM先生の絆について話していたら、M先生が来てくれる。
「余計なことは言わんでいいの(笑)。免許は取れたんか?」
「今週末が学科試験なんですよ」
「ほぉ。まぁ、学科で落ちる心配はせんでえぇやろ」
「いや、あの、心配はそこなんですけど」
「頭はえぇねんから、大丈夫や。合格したら、僕とS先生、海に連れて行ってよ」
「もちろん、それは行きたいです! でも、合格するのかどうかが……」
「するよ、大丈夫! S先生もそう思ってはるよ」
「よし、台の高さ、上げるで」
血圧計や酸素を計る機械をつけてもらう。
「愛してるやんね?」
「誰が、誰を?」
(看護師さん)「えっ!?」
(M先生→看護師さん)「こういうこと言って喜んでるだけやから、適当に聞いてたら大丈夫やよ」
(看護師さん)「そうなんですか。私、聞き間違えたかと思ったのに、話が通じてるようやから、どうしたらいいんかと思いました」
「S先生は『M先生とはずっと一緒やから、いちいち愛を確かめんでも大丈夫』って」
「あんな(笑)、冗談は冗談と分かる状況で言え! こんなシリアスな場面で言ったら本気にする人もおるやろ。マウスピースかますから、もう喋られへんで」
(看護師さん)「先生、今日はそれじゃないんです」
「あ、ごめん、一回外そうか」
「喋れる( ´ ▽ ` )ノ」
「こらぁ! マウスピースかますで」
「(手話で)大丈夫、信じてるよ、I love you」
「(笑)、もぉ麻酔かけるから、うまいこと眠りや」
1時間寝た後で、外科外来でS先生に診ていただく。
「お疲れさんでした。何時間寝た?」
「1時間です」
「写真を見たけど、今まで通りの鳥肌胃炎以外には特に問題ないようや」
「良かった! 今、症状もないし」
「うん、良かった。これで1年は内視鏡をしなくていいとは思う。ただ、がんのリスクファクターを抱えてることには変わりないんで、今回は間が空いてしまったけど、1年に1度くらいはカメラしていこうかな」
「はい。撮っていい?」
「うん、キレイな画面出すからちょっと待って」
いくつか写真を見せてくれた中で、とても美しいものがあった。
「先生、これって何の写真? すごいキレイ!」
「胃の入り口の……」
「噴門部?」
「そう。幾何学的にはキレイやけど、別に所見があるわけじゃないよ」
「でも、キレイだから撮っていい?」
「いいけど(笑)。こういうのが好きなんやな」
「はい!」
「それやったら、アングル的にこれどうや?」
「これ?」
「入口と出口に向かうのが同時に映ってる感じ」
「おぉお!」
「Mは何か言ってた?」
「『冗談は冗談と分かる状況で言え』」
「何を言ってん(笑)」
「あの、免許は取れたんかって気にかけてくれて」
「試験がいつって?」
「今週末が身体検査と学科試験で、来週が実技」
「学科は余裕でいけるやろ?」
「あの、私はエンジンの知識が全然ないから、そこで躓いてますね」
「あぁ、そうか。なるほどな。でもいけるやろ」
「それで、免許取れたら海へ行こうってM先生は言ってくれました」
「うん。俺からも念押ししとくわ」
「ありがとうございます」
「でも、どこで練習とかするの? もう寒い時期やけど、どうするの?」
「あの、ウェットスーツをもし手に入れられるのであれば、練習できる場を見つけて、暖かい季節までには、それこそ自信を持って人に乗ってもらえるようになりたいのですが……」
「あぁ」
「P先生に、ウェットスーツのことは聞いてみたいとは思うんですが」
「でも、船の上はウェットスーツじゃなくても……」
「あの、私、特殊免許が欲しいんですよ」
「ほぉ。もし、今回の試験で合格できたら、特殊免許のときは楽にいけるんやんな?」
「そうですね。で、結局いつかはウェットスーツ要りますよね。そのタイミングが、体型の変化も考慮に入れると、いつなのかって」
「……陸上で運転できへんのに(笑)」
「ん?」
「水上では自由に動けるって、そんな人少ないで(笑)」
「そうかな?」
「なんか、ただ進みだすタイミングやったんやろな」
「はい」
「免許取れたら見せてな、一回は」
「はい、もちろんです!」
今日はガスターだけいただいて帰宅する。ありがとうございました。
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