7月、「海の日」の夕方。病院で夕食の配膳が始まり、看護師さんが病室に出入りし始めた。
「調子はどうですか?」
「え?」
男性の声だったので、しばし混乱。
「あ! Z先生」
カーテンを閉めながら、
「傷の具合、診せてね」
って言ってくれはった。
あまりにも自然な動作だったので、普通に診察をしていただいたけれど……。
「ちょっ、先生、お休み取れなかったんですか!?」
「いえ、今日は休みです」
Σ( ̄□ ̄)!!
「大丈夫ですか? 体、気を付けてください」
「大丈夫です。はっはっはっはっ(笑)」
って笑って去って行きはった。
自分の体に気を付けられていないのに、プロのZ先生に何を言っているんだ。
Z先生に会えたので、麻酔から覚めてZ先生の顔を見た時と同じように、とても安心できた。
そして、Z先生に初めて診察していただいた日から、Z先生の歯切れの良い笑い方が、すごく気持ちがよくてすてきだと思っていた。この日も、豪快に笑ってもらえて嬉しかった。
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