私は平衡機能障害のために杖を使っていた時期があり、耳の手術のあとは歩行器をお借りしていた時期もあるのですが、
「杖や歩行器は、足腰に障害がある人が使うもの」
と思っている人が多いんだなと、実感したものです。
さて、病院には車いすを使う人もたくさんいらっしゃるのですが、時々気になってしまうことが。
車いすに座っている人は、立っている人に比べて目線が低くなります。
そして、看護師さんや受付など外来スタッフの方は、車いすを押す立場である付き添いの方に説明することが多いため、立っている人同士が会話している場面が多いのです。
頭の上でなされる会話が、単なる説明だったり、挨拶だったりで和やかな雰囲気で終わる分にはまだいいのです。
問題は、何かトラブルが発生している場合。
病院の入口などで見かけることがあるのですが、介護事業者のスタッフの方が、ご高齢の方をはやく病院内に案内しようとして、車を入口付近に止めて、車いすの昇降などを行っている。
すると、病院の警備員の方などが「あまり、長時間ここで作業されると、緊急車両などの出入りもあり困るんです」と抗議する。
どちらにも言い分があるとは思うのですが、険悪な雰囲気の会話を聞いて、心を痛めているのは、車いすに座って事態を見守るしかない患者さんご本人なのです。
また、少し距離のある病院にも通っている私ですが、その病院の入口には、貸し出し用の車いすが30台近く並んでいる光景が当たり前でした。
でも、その日はたまたま、30台全部がすでに使われていて、空っぽの状態。
車いすが借りられると信じて、なんとか歩いてこられた患者さんや付き添いの方が呆然としていて、ボランティアの方もどうしようもない、という光景がありました。
もし「車いすが出払っているかもしれない」という考えがあれば、患者さんは自家用車の中で待機するという選択ができたかもしれません。
とはいえ、車いすが借りられるかどうか確かめてから、患者さんが自家用車から降りていたら、病院入口を長く自家用車でふさぐことになり、上記のケースのような注意も受けるでしょう。
これらすべてを、今日明日に解決する魔法のような方法っていうのは、たぶんないでしょう。
でも、そもそもこれらの問題が起こっていることに、気づくことがすごく大事。
私は、祖母の車いすを押してた時期もあったし、先に書いたように自分が杖を使っていた時期もあって、
「使ってみないと分からない、実感できない問題というのは、存在する」
と思っています。
長くなったので今回は詳しく書きませんが、杖や車いすを使う人が、必ずしも「これがあれば楽だ」と喜んでいるケースばかりではない、というのも今ならわかります。
こういう「使ってみて初めて分かる経験」を、これからは仕事でも活かしていきたいなと、私は思っています。
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