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普通の日はないんですか!?

「大きな波に流されるのでも、逆らうのでもなく、波に乗って進みなさい」と、教えてくれたのはあなたでしたね。

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私の中の子ども

幼い頃、アトピー性皮膚炎がひどかった。大きな病院へ連れて行かれて検査をしたり、食事制限を受けたり、子どもにとっては謎の多い生活をしたこともある。

特に苦痛だったのは、夏の制服で登校する時期だった。半そでで日光に当たると、両腕の皮膚炎がつらくなる。真っ赤な湿疹がたくさんできた腕を見せることは10代の若い女性にとって、非常に苦痛だった。

そして、ブラジャーをつけていないことが、夏の制服だとわかってしまう。これも大変な苦痛だった。それなりに胸も出ていて、女性らしい体つきに変わっていっても、ブラジャーをつけることで、皮膚炎がひどくなるので、つけられなかったのだ。

二つの恥ずかしさが理由で、長袖の上着を頑なに脱ごうとしなかった。

このような状態では、つらいのは私だけではない。育ての親である祖母には、イライラすることの連続だったのだろう。私をしかりつけることで、不安を解消していたのだと思う。

「治れへんかったら、どうするの!!」
「そんな汚い顔してたら、嫌われるわ!!」

毎日毎日、これを連発されてたのを、思い出す。
このような言葉を聞くのが嫌で、帰宅拒否症っぽくなったことがある。

これらの言葉は、決して「愛情がない」からではない。愛情の表し方が、うまくいかなかっただけだと、今ではわかる。
子どもだった私は、それを素直に受け取りすぎて「これからどこへ行っても、何をしても、病気が治らない限りは、迷惑な存在なのだ」という思い込みが生まれていった。

やがてメニエール病の治療を受けるようになり、当初は簡単に考えていた治療は、意外と長引くことになった。「治らなければ、自分は迷惑な存在となってしまう」という思い込みは自分を追い詰めた。
その当時、病気のことだけではなく、生活が大きく変わることになり、「適応できなければ、周りに迷惑をかける」という思いが強すぎた、とも思う。学生でも社会人でも、「周りが自分に合わせるべきだ」と全員が言っていたら、社会は成り立たないから、「適応しなければ」と考えることは、ある程度必要だ。私の「適応しなければ」という思いは、おびえにもとづいた、異常に強いものだったのだ。

やがて、精神科での治療を受けることを勧められ、紹介状をいただいてN院長先生のもとを訪ねることになる。

※通常、紹介状に書かれた内容が、本人に知らされることはありません。※
※※※でも、H先生、N先生、ごめんね、もうばらしてもいいよね? 時効だよね?※※※

精神科への紹介状に、主訴とは別に、唐突に「家族との関係に問題があるように思われます」とあまりにもはっきり書かれてあって、N院長先生はびっくりした、と後ほど、自分の精神状態がもう大丈夫だと思われた頃に、知らされた。

時間が経過し、祖母の介護を私がするようになった。正直言って、怒りがあふれてくることがあった。

「私にだって仕事があるんだよっ!!」
「あなたは病気の私を嫌い続けていたのに、自分が病気だからといって私を振り回すのは、あまりにも勝手ではないの?」

私がそれを言えなかったのは「迷惑だ」と言われることの苦しみを、知っていたからだろうと思う。私は年齢が若いから、病気を治す余地がある。幸いにしてすばらしい先生方の治療を受けることができて、病気への受け止め方も、ずいぶんと変わっている。
でも、年をとれば「病気を治して、迷惑をかけなくなる」「考え方を改める」ということは、不可能になってくる。そのときに「あんたは昔、私を迷惑だと言っただろう。同じことを言い返してやる」とは、とても言えなかった。

私の中の子どもの部分(もしかしたらインナーチャイルドと呼ばれる部分かもしれない)が、素直に「嫌われる。迷惑になってしまう。そのことにおびえている」と伝えてきたのは、一昨年から昨年にかけて「メニエール病の再発ですね」と言われ、治療を受けるようになった、その時だったと思う。

介護・看病を「決してつらくない」「まだ頑張れるよ」と笑って言っていたのに、現実的にはメニエール病を再発させるという失態を犯してしまったとき。「これから私は、多くの人に迷惑をかけてしまう」ということが、申し訳なくて、怖くて仕方なく、おびえている自分に気づいた。

これは、おびえている自分を救うための、脳の働きだったのかもしれないが、H先生が精神科を紹介してくださったときの、私への言葉を思い出した。
「誰も、あなたを責めてなんかいないんだよ。あなたを心配しているんだよ」
「心配しているからこそ、こんな状況になっても、いろんな人に気を遣っているあなたが、少しでも楽になってほしいと思っているんだよ」

また、メニエール病のこととは関わらない件で「結婚式に出てくれなかったあなたとは、もう付き合わない」という態度の人がいたこともあって「病気とは関係なく、人には相性というものがあり、縁が切れることも、つながることもある」とも、考えられるようになった。

私はこれから「子どもの私」に、時間をかけてもいいから「あなたは本当の意味で『迷惑な存在』だと言われていたんじゃない」「愛情がうまく伝わっていなかっただけで、愛情がゼロだったわけじゃない」「あなたがつらかった時間を、耐えてくれたから、今の私があるんだよ。だから感謝しているんだよ」と言い聞かせてやりたいと思う。

「迷惑をかけてしまう」とおびえることは、全てが悪い面ばかりではない。「おびえ」をゼロにしようと焦ってしまったら、再びどこかで、何らかの破綻が生じるだろう。おびえをそのまま表面に出すのではなく、「他人に気を遣わせないようにふるまう」という能動的な面を、おびえという影を感じさせないように、スムーズに発揮できるようになれば、良いのだと思う。

そして忘れてはならないと思う。私のためを思って言葉をかけてくださった人の、愛情のあふれる言葉も、私は結果的にはシャットアウトしてきたのだ、ということを。差し伸べられた優しい手は、たくさんあったはずなのに、私の中の子どもの部分に、自分で負けてしまい、感謝の気持ちを十分には返せなかった。そのことは、きっと、多くの優しい人を傷つけただろう。「子どもである」ということは、そういうことだと、今ならばわかるし、これからは、そのことを忘れてはならないと思う。

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