精神科のN先生のところへ行った。
看護師さんに、手術してきたことなど話していると先生に呼ばれる。
「おはようございます」
「はい、おはよう」
手紙を渡す。
「咳も熱もでるということは、気管支の調子が悪いですか?」
「いえ、そこまでひどくないと思います。今、近くで工事があるから、用心深くしているというだけです」
「熱は、夜しか出ないんですね?」
「はい。ちょっと疲れが出るのかなとも思っていますが」
「で、循環器の先生に、それまでの経緯をちゃんと話せてないということですが」
「そうですね、すぐにハント症候群とか、外科の手術のこととかあって、それ聞いていただくだけでも、本当にありがたく」
「テノーミンというお薬は、効果がありますか?」
「はい。120とか打ってた脈が、飲んで数時間で70とかなったんです」
「それは、良かったですね。お薬を飲み始めてから、特にトラブルというのは?」
「お薬のトラブルはないんです。ただ、ハント症候群のときに『ずっと緊張してたから、頻脈になりがちでした』っていうのは、わかってもらいやすかったけど、もしこれから精神科の症状が出ているときに、落ち着いて説明できるかっていうと自信がないのです」
「それは、焦るでしょうね」
「今のうち、余裕があるときに、『私にはこういう傾向がある』ということや、そもそも循環器の先生のところへ行く前に、精神科のことのコントロールが悪くなったから頻脈になったと思い込んでいたこととかを、あらかじめお話したほうがいいのかなって」
「お話しておいたほうが、いいと思います。ただね、精神科で扱うパニック発作とかだと、頻脈になっても30分を超えて続くっていうことは、少ないんですね」
「はい」
「ホルター心電図は済んでますよね?」
「はい。日中は脈が速いとおっしゃっていました」
「そうですか。わりと長時間、頻脈だったのなら循環器の先生の治療を受ける意味が大きいと思います。私でも、テノーミンではないですが、頻脈が続く方にはお薬を出すこともありますよ」
「はい。あの、私は決して、行きたくないということじゃないんです。ただ、こういうのは、気合いでなんとかなるってこと、ないんですか?」
「ならないでしょうね。気合いいれるのは、別に構いませんが……いや、いけないわ」
「なぜですか?」
「交感神経の働きを抑えるほうがいいんでね。気合いは逆効果」
「あの、気合いという言葉はいけないかもしれませんが、心掛けというか、そういうので変わってくる部分があると思うんです」
「そういえば、自律訓練法はマスターされていましたか?」
「していますが、私は胃が悪いので、お腹は緩めないようにしています」
「そうでしたね。もちろん、自律訓練法などで楽になる部分はあるかもしれない」
「ですよね! 頻脈にならないように、気を付けておくべきだったのかなって……」
「ほら、いつものクセがでてますよ。あまり自分を責めずに、ちゃんと薬を飲みましょう」
「はい。ありがとうございます」
「あの、前にお借りした『解離性障害』ですが、もう少しお借りしていいですか?」
「はい、もちろんです。あの、別の本で『パーソナリティ障害とは何か』というのも、面白かったので、また後に」
「ありがとうございます」
「欲しい薬は? リスミー、ロヒプノール、デパスでいけますか?」
「ア▲▽ッ■も」
「はひ? ア▲□ッ■?」
「ア▲▽ッ■です」
「何それ?」
……本を見る。
「あ! いらんでしょっ(笑)!」
「ははははは」
今日もありがとうございました。
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