私は海のない市に住んでいるので、台風が来ても「波浪」「高潮」に関する警報が出ることはない。
中高生だったとき、毎週、池釣りに行っていたけれど、
「海は、子供だけで行ってはいけない」
「救命胴衣をつけなければならないし、欲しければ自分の小遣いで買いなさい」
と言われていて、しかも子供の足では海はとても遠く、簡単に行くことができなかった。
去年、初めてヨットレースというものを見せてもらってから、随分と海への意識が変わった。
自分に対する意識も変化したかもしれない。
ヨットレースの時には、見ず知らずの人の中でびびりすぎて、呼んでくれた人にご挨拶することもできなかった自分が、もうなんか情けなく、申し訳ないと思う。
あの日、手の皮が剥けるほどの日焼けをして、夕立に打たれるという経験をしていなければ、海はやはり遠い存在だったかもしれない。
自然のにおいをかいで、グランドを走り回ったり、川を泳いだりしていた自分を、思い出すことができたのは、本当に大きな転機となった。
強くなりたい。
もし、落水したときに自分で対処できるようになりたい。
もし、目標物を見失ったときでも、自力で帰港できるくらいに、知識をつけたい。
「私もヨットに乗りたいです」と言っても、決してその人のご迷惑にならないくらい、体力と筋力をつけたい。
そうなるためには、海へ行ったときだけ強ければいいのではなくて、日常的に強くなる努力をしていなければいけない。
「やると決めたことはやる」という意志の強さを持つことや、びびらずに、自己をきちんと主張できるようになるとか。
海は、そういう気持ちの象徴となってくれている。
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