高齢者の所在不明問題
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/whereabouts_old_people/?1282904992この問題が取りざたされ始めた時、ある方が「帰ってくると思っていたから、何も手続きをせず放置してしまった」と話しているのを聞いた。
私の祖父は、シベリアで抑留されていた期間が長かったので、戦死したと思われていた。しかし何年も経ってから、復員することができた。
祖父の直系の人間は、日本国内には残っていなかったため、戸籍のことに関して、何も手続きが行われていなかった。戦後の大変な時期に、遠い親戚のために役所や裁判所へいって、手続きをしようという余裕は、誰にもなかっただろう。
このこととは別に、私の知人の親族、という関係の方が失踪して、数週間経って帰ってきたという経験がある。知人の親族と私は、直接の面識はなかったけれども「きっと帰ってくる」という思いがなければ、数週間どころか、数日も待てなかった。その人が帰ってくるまで、生きた心地がしなかった。今も心に冷たい塊が残っている。
だから「帰ってくると思って、待っていた」という気持ちは、わかる。
高齢者が失踪したということは、その配偶者も、息子娘も、高齢になっている。高齢になれば、裁判所に行って失踪宣告を受けるのは、たいへんになっていく。
「失踪宣告を受けなかった場合」のデメリットなんて考えもしないだろう。7年も待ち続けて、へとへとになってしまえば、「もうこのままでいいんじゃないの?」と思うかもしれない。
だからといって「すべての人に悪意がなかった」とは言えない。年金の不正受給が目的だったり、介護が面倒になった、などの理由で放置していたケースもあるだろう。役所の側で戸籍というものの取扱い自体に問題があったケースもあるだろう。
一概に「誰が悪い」と言えない、個々の事情があるのだろうと思う。
[0回]
PR