うちではなぜか、金魚や熱帯魚などの魚類を飼うことが多かった。
金魚は病気にかかることもある。たとえば、尾ぐされ病は一匹がかかると、あっという間に広まるので「気づいたら隔離して、薬や塩を入れて水温を高める」など、対策が必要だ。
ショッキングだったのが「転覆病(浮き袋病)」になった金魚(リュウキンっぽい種類だった)を、初めて見たこと。おなかを上にして、動かないので「死んでるのでは? だったら早く取り除かないと、他の金魚に悪影響がある!!」とあわてていたら、逆さになったまま泳ぎ出す。
日本動物薬品株式会社「観賞魚の診療所 転覆病」
(写真に、ショックを受けるかもしれませんので、ご注意ください)
http://www.jpd-nd.com/n_jpd/shinryo/gyobyou_other.htmlインターネットや飼育本を調べても「転覆病(浮き袋病)には治療法がない」と書かれてあるのもまた、ショックだった。「本当にどうしようもないの?」と、情報を求めたが、どうしようもないという事実が明らかになるばかりだった。
ただ「うまくつきあっていく」ということ、個性として受け入れていくことが大事なのだとは、思えた。
「なるべくストレスを与えないこと」と書いてあったのだけれど、たとえば人間が「愛してるよ」「ゆっくり養生すればいいよ」と語りかけることも、金魚から見ればストレスかもしれない。
あれから数年がたち、転覆病の金魚も、ほかの個体も、天国へと旅立ってしまった。
私の母が、趣味で俳句を作っている。転覆病の金魚を題材にした俳句が、どっかの地方公共団体の賞をとって担当の方から電話で問い合わせがきた。役所の人を相手に「転覆病とは・・・」を説明するのが、けっこう大変だったようだ。
金魚が24時間ずっと「逆さま」になっているというのは、見ているだけの私たちも、けっこう大変だった。金魚の視界を想像すると、なんだか疲れてしまったものだ。
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