耳鼻科のY先生のところへ行った。
「おはようございます」
「はい、おはようございます。どうですか?」
「調子いいです!」
「そうかぁ!」
「昨日ヨットに乗ってきたから、軽い陸酔い中で」
「おぉ! 4日とか5日とか、風が面白かったんちゃう?」
「あの、風が強すぎて、レンタルのヨットでは出艇できなかったんです」
「そうなんや(笑)」
「まだまだ、下手なのです」
「あの、前に教えていただいた聴力が悪かった場合に、幻聴はどう感じられるのかっていう話で」
「うん」
「ある精神科の先生が書かれた文章を読んでいたら、『なんとなく意味そのものが頭に入ってくる』『意味が言葉として聞こえてくる』というような段階があって、それを治療によって行ったり来たりする、のようなお話があったんです。それで、音声以外にも言語を認識する方法はあるので、そう考えたらやっとわかった気がするんです」
「おぉ! そうやなぁ。そうそう、記憶であるとか、そういうことの引き出しを、意図しないタイミングで無理やり開けられるというのが、先にあって。それをどう認識するかってのが……」
「はい! 音声という形でなくても、意味そのものは感じられるってことが、やっと腑に落ちたって感じがするんです!」
「よかったなぁ」
「で、薬はどうしよう?」
「(あ゛あ゛あ゛あ゛、余計なことをしゃべりすぎ……)」
「陸酔い中ならメリスロンは?」
「大丈夫です、あります。あ!」
「ん?」
「無理かもしれないんですけど、デパスって大丈夫ですか?」
「出せるよ」
「あぁ、大丈夫ですか? あの5錠ほど」
「5錠? なんでそんな数なの?」
「あの、精神科の先生のところへ今週末行くんです。それで、あのちょっとだけ足りなくて」
「ホンマに出せるよ。20錠ほどもっとく?」
「ありがとうございます!」
帰りにファミレスのジョイフルで昼ごはん。
ランチタイムはマクドナルドより安く食べられる。
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