「擬態うつ病」林公一先生 を読んだ。
擬態うつ病 (宝島社新書)の画像 擬態うつ病 (宝島社新書) 林 公一
アマゾンのユーザレビューでは「症状の重いうつ病患者は読まないほうがいい」というものが数件ある。
確かにそれはそうだが、私が「読まない方がいい」と思ったのは「通読すると何を書いてあったのか分からなくなる」という奇妙な感じを受けてしまうから、というのが理由だ。うつ病ではなくうつ状態なら私も経験があるが、そういう時にこういう「よく分からないもの」に接すると、なんか余計に気分が落ち込むのだ。
ただし、部分的に自分に必要なところを、取捨選択する能力がある人(つまり重症のうつ状態を脱した人など)が、自分の知りたいところだけ読むと、なかなか楽しいと思う。
それともう一つ「精神のけもの道」を読んだ。こちらは実は、古本屋で偶然発見し購入した。
精神のけもの道―つい、おかしなことをやってしまう人たちの話の画像 精神のけもの道―つい、おかしなことをやってしまう人たちの話 春日 武彦
私が一番面白かったのは、家族と「親戚」に連れてこられた「ある優秀な学生」が突然錯乱し、強制入院になったという話。実は強制入院とされた理由は、錯乱の原因がどうやら覚せい剤にあるらしいから。
しかし、本当に興味深いのはここからだ。まず「優秀な学生」っていうのは、両親のついた嘘らしい、ということが暴かれる。本人は優秀な学生などではなく、相当なワルだったようだ。そして「親戚」と名乗る人は、どうやらその道あの道の人らしい・・・。
謎なのは「患者が錯乱し、自傷他害の危険性があるという非日常かつ緊急の状況で、なぜ両親は、治療の役にも立たない嘘をついたのか?」という点だ。
精神科医である筆者にも、この点が謎のままだというのだ。
この本は「精神科ってどんなところだろう?」「悩みがあるんだけど、相談しても大丈夫だろうか?」といった、精神科初心者の迷える人が読むと、随分気が楽になる、という種類の本だろう。あまり医学的な説明はないので、病気のことをもっと深く知りたい人は、専門書を選ぶほうがよい。
でも「精神のけもの道」は楽しい。だからお薦めの本だ。
・・・最近、こういうのばっかり読んでいるな・・・。もっと症状がひどかったときに、真面目に読んでいればよかったな。どうせ仕事で読むんだって分かっていたら、真面目に読んでいればよかった。
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