知人Aさんは、誰かとトラブルになったときに、
「嫌そうな顔して!」
「何なの、その憎たらしい顔は」
と言われることの多い人だった。
Aさんは、
「トラブルの内容そのものと、顔・表情は関係がないのに、因縁つけないで!」
と言い返す。
私から見て、そういうときのAさんの表情は、確かに不平不満・不機嫌さを隠さないという感じがしていたし、
「子どもじゃないんだから、たとえトラブルの全責任がAさんにはないとしても、もう少し冷静な顔はできないの?」
と思ってしまうこともあった。
ある時、ふっと気が付いた。
Aさんはトラブルのあるときだけではなく、普段から「機嫌がいい」とは思えない表情をしているのだ。
「何か、気に食わないことでも、あるのだろうか?」
「この場が楽しくないのだろうか?」
と、周囲が気を遣ってしまうような顔、と言えばいいのか。。。
Aさんの心を無理やりこじ開けて覗いてみることができない以上、推測でしかないのだけれど、Aさんの表情は「不平不満の表れ」ではなく、ご本人にとっては「標準的な表情」なのだろう。
ただ、「自分の表情が他の人に与える印象」に無頓着であり続けた結果が、今のトラブルにつながっているのだ、と思う。
私がこの単純な行き違いに気づいたのは、Aさんの言葉を直接聞いたことがきっかけだった。
「『嫌そうな顔をして』と言われることが多いけれど、なんで誤解されるのだろう?」
Aさんの表情に圧倒され、Aさんの本当の想いをちゃんと分かっていなかったなと、衝撃を受けた。
服装や立ち居振る舞いについてのマナーに気をつけるだけでなく、表情に責任を負うこともまた重要なのだと気付かされた出来事だった。
[0回]
PR