知らない町の国道を、山に向かって歩いた。山はガスが出ている分だけ、神秘的な雰囲気に見えた。
仮にひどいことを言われたり、されたり(森林の破壊など)しても、山はその悠然とした佇まいを変えることはない。だから人間はつい、「このくらい、許されるだろう」と思ってしまうのかもしれない。
しかし人間が山へ近づき、その頂を目指そうとすれば、ごつごつとした岩や急な傾斜、視界を覆うガスなどに翻弄されることになる。
私にはきっと、山が持つような強さが欠けている。
「ひどいことを言われた・されたから、傷ついた・悲しい・苦しい」
で終わるのではいけない。
「そのようなことを言ったら・したら、いずれ痛い目に遭うのはお前のほうだ」
と、示すことができる迫力が、私にはない。
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