ほかに、なんか？

家の掃除はできるだけした。

洗濯ものもできるだけ干した。

食料品も買い置きできるものは買ったし。

集金とかの予定も前倒しでお願いしたし。

……ほかに、なんかしておく必要があったかな？


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この前、T先生が
「夏休みは取らない。っていうか取れない」
と言ってはった。

T先生のいる病院の人手が足りないことは、S先生からも聞かせてもらった。

ごめんなさい、T先生。
自分は、普通と違う形かもしれないけど、少し休みを頂きます。


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こんな私にも、「お付き合いをしてほしい」と言ってくれる人がいた。

でも、その人が欲しがってたものは、一人の人間としての私じゃなくて、その人の「条件」に合う人間としての私だったことが、今ならよく分かる。
その人が、現在の私を見たら「私を選ばなくて良かった」と思うだろう。

言ってから？ 済んでから？

「頑張ってきます」と言ってから行くほうが、安心してもらえる？

全部済んでから、「頑張れました」って言うほうが、いいのかな？

買い物するのは気分がいい

入院のとき、必要なものを買いに行こうと思っていたら、父が車を出してくれた。

手術当日は、どうしても身内に付き添ってもらわなければならないのかな？
S先生に聞いておかなくてはいけない。
母は難しそうなので、どうしてもという場合、父に頼むしかないだろうな。

入院のためとはいえ、買い物するのは気分がいいな。
パジャマにするTシャツ、普段は着ないような色を買った。
退院した後、どうしたらいいだろう？

一つでいいから、いい思いをして欲しい。

私は時々、「何のために生まれたんだろう」と考える。
つらいときには「なんで生んだんだ！？」と考えてしまうこともある。

私には、それを考える時間があるのだ。

でも、あと3週間ほどで、私の乳房にできた腫瘍は切除されてしまう。
この腫瘍は2月のエコーには写っていなくて、4月に見つかった。
切除すると決まったのが今月。
長く見積もって4,5か月で、腫瘍のいのちは終わってしまう。

私はこの腫瘍を切除することを希望していて、気持ちはゆらがない。
でも、腫瘍にとっては、「何のために生まれたのか？」を認識せずに生み出され、一方的に忌み嫌われ、気付いたら「切除する」と言われ、この世では何かいいことがあっただろうか？

手術のときまでに、一つでいいから、いい思いをして欲しい。
私に何ができるかわからないけど、あと3週間の間に、なんか一緒に楽しいこと、嬉しい事をしよう。
楽しいとか嬉しいって感覚が、細胞の片隅にでも残ってくれたらと願う。

「画像あります」

乳腺専門のZ先生に診て頂いた。
「S先生から聞きました」
「よろしくお願いします」

「血性の乳汁というのは、どういう出方をしましたか？」
「あ、画像残してあります」
「……ほぉ！」

触診をしていただき、だいぶ前の画像とかも見て頂いて
「両側か……。これだと、手術したから症状が止まるかというと、別問題だと思います」
「そうですか」
「で、腫瘍があるのはわかっているんです。でも、どの乳管に腫瘍があるのか、現状わからないんですよ」
「はい」
「なんで、乳管の入り口から管を入れてっていう方法が使えないんですね。これが負担も少なくていい方法なんですが」
「はい」
「そうすると、腫瘍のある部分をちょっと広めにとるっていう方法になります」
「はい」
「局所麻酔では難しいですね」

「そうですか。全身麻酔は、12年ぶりです」
「あ、そうなんですか？　なんかうけたことが？」
「メニエール病で、内リンパ嚢開放術を受けました」
「そうだったんですね。なるほど、わかりました」

「あの、M先生っていらっしゃいますよね」
「はい」
「M先生が、ものすごい好きなんです」
「はっはっはっはっはっ(笑)」
Σ（￣□￣）！！
「え、どういうこと(笑)？」
「でっかいですよね」
「まぁ、そうですね」
……今考えたら、何の説明にもなっていなかった。

「今飲んでるお薬はありますか？」
「はい。お薬手帳があります」
2冊渡す。
Z先生が先に開けたほうが、まだ空のものだった。

「あ！　ごめんなさい。そちらまだ、新しいほうで何も貼ってなくて」
「ははははは(笑)。トラップやったんや(笑)」
「すみません」

「あの、不謹慎かもしれませんが、入院中はパソコンを使っていいですか？」
「えぇ、かまいませんよ」
「仕事、やっていいですか？」
「いいですよ」

この後、入院の説明とかを聞きに行く。
事務の人や、薬剤課の人、看護師さんなどが入れ代わり立ち代わり、説明をしてくださる。

「乳房から出血する、ということですが、どういう状況でしたか？」
「あ、画像あります」
「うわぁああ。こういうのちゃんと残してはるんですね」
「捨てるのも、なんかもったいないですしね」

画像を何人もの人に見て頂いたなぁとおもう。

これから、しばらくお騒がせしますが、どうぞよろしくお願いいたします。