幼い頃、自分を育ててくれた祖母には感謝している。
でも、ぐちぐちぐちぐちと、人の悪口や人生がうまくいかないことの愚痴を聞かされるのは、しんどかった。
特に「病気になった人が途端に気弱になる」という現象を、祖母がものすごく批判するのはつらかった。
「私自身が病気だから、祖母に何か言われないようにしなくては」という思いもあったし、何よりも、「祖母が病気になったときに、祖母自身の辛さを周りにまき散らして、周りを圧倒していることに気づかず、他人のことは批判している」という現象が、なんだか滑稽でもあり、哀しくもあった。
さて現在、私は愚痴を言うこと、他の人の話より先に自分の話をすることを極端に恐れてしまう。
祖母がしてきたようなことを、自分はしたくないという思いが強い。
右耳の調子が悪くなってからは、「聞くこと」「話すこと」を同時にできず、「まずは聞いてから話す」という部分が増えてきた。
こういう私は、父、母、弟とはペースが合わない。
彼等は「言いたいことは言う」「聞きたくないことは聞かない」ということができる。
祖母に対しても、それは同じだったから、彼等は「自分を守りつつ、祖母と付き合う」ことができていたんだろうと思う。
今、けっして両親や弟との「仲が険悪である」とまでは言わないけれど、親兄弟であってもペース・相性の問題が生じることはあるのだ。
この1年半、1人で過ごす時間が増えて、話す必要も聞く必要もなくなった。
ただ、生活音を感じるだけの時間が、「これまで、疲れてたんだなぁ」ということに気づかせてくれた。
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