中学校時代の先生が、電話をかけてくれた。今も中学校のときと同じ呼び名で呼んでくれる。用事そのものは滞りなく済んだ。
「こうして話してると、あぁ、大人なんやなぁと思う」
私は「子ども」ではないけれども、先生と話していると「先生と生徒」という立場に、一気に戻った感じがする。それでも今は、先生じゃないし、生徒じゃない。
生徒にとって先生は、目上の人であり、強くて、正しくて、生徒を思うという「大人」であった。
しかし、いつからか「強くて、正しくて、生徒を思う」ということが、いかに大変であったか、生徒の「理想」をある程度満たしてくれる「先生」という存在が、いかに大変な立場であったか、分かるようになる。長く付き合うにつれて、先生が「仕事のこと」を、上から下へ教える感じではなく、会話の一部として話してくれるようになる。
こうやって段々と「先生と生徒」を卒業していったのだ。
今後、自分が「師」と仰ぐ人が現れたとしても、「子どもにとっての先生」のような気持ちになることは、難しいと思う。それだけ大事な時間を過ごしていたんだと気づくのも、大人になったからかもしれない。
そんな何も分かってない子どもから、怒鳴り散らされて反発されてばかりいて(ごめんなさい!!)、それでも今も、中学校時代と同じ呼び名で呼んでくれる先生は、本当に大人だったのだ。
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