解放

誰かを、何かを好きだという気持ちから、どうしたら解放されるだろう？

好きだという気持ちは幸せを連れてくるけれど、幸せ過ぎて動けなくなる。

どうして私の心は、私を縛り付けるの？
叶わぬ夢だと分かっていても、夢を見ていられる間は幸せだから？

甘美な束縛から解放されることには、痛みがつきまとう。
それでも、いつか解放されるということを選ばなければならないことは、分かっている。

忘れない瞳

ある日、静かな優しい瞳に出会った。
私が答えを出せず、焦って黙り込んでしまっても、ただ私の顔を見つめ、答えを待ってくれた瞳。

付き合いが長くなるにつれ、
「もっと、その瞳に映し出されたい」
と願うようになり、
「もっと、その瞳を見つめていたい」
と祈るような時間を過ごすことが増えた。

でも、もうその瞳に甘えてはいけない。

私にできることは、その瞳のほうが
「私を映し出したい」
と探してくれるような人間になること。

そんな日が来るまで、いや来てからも、私はあの日の瞳を忘れないでいるだろう。

新しい形に

大切なものを失って、心に穴が空いたような気がするときは、
「心が新しい形になったんだ」
とでも思うことにする。
新しい形の心で見渡せば、周りの風景だって今までと違って見えるかもしれない。

束の間の夢

いくら頑張っても、無視されるとき。
時間と労力を犠牲にしても、気持ちが伝わらないとき。

ちょっと優しくしてくれる人がいると、気を許してしまう。
今、抱えているしんどさを放り出して、その人のことを信じたくなってしまう。

たとえば、言葉が分からない国で右往左往しているときに、日本語が分かる人がいると甘え過ぎてしまうような感じ。

今の自分に、そういう傾向があるのは分かっている。
それでも、ほんの束の間の夢を見ることくらいなら、許されるだろうか？

今は心に、その両方が存在する。

大切なものに、もう触れない決意をした。
なぜなら、私はそれに貢献できないから。

身体の一部を失ったような、心を引き裂かれたような痛みは今もある。
間違いなくこの胸が痛んで、そして空しくなる。

でも、別の大切なものを、見つけてしまった。
寂しさを埋めようなんて、間違っても思っていない。
代わりになってもらおうというつもりではない。

ただ、
「私には、これが大切なのだ」
と確信できる。

だから、罪の意識が心を満たす。

「大切なものに貢献できなかった私が、何かを大切にする幸せや喜びを再び得てもいいのか？」
「役に立てなかった自分を恥じているなら、もうそんな喜びは諦めるべきではないのか？」

失った痛み。
得た喜び。
今は心に、その両方が存在する。