先日、某カフェでぼーっとしていたら、近くの席で
「バイトを辞めたい」
という人に、上役の説得が続けられている様子であった。
「私は(理由は聞き取れず)迷惑を掛けると思うから……」
「誰も、迷惑だなんて思ってないよ」
この会話は、実は噛み合っていないと思う。
辞めたいご本人をAさんと呼ぶ。
ここで問題となっているのは、Aさん自身の
「『私が』迷惑をかけると『思っている』」
ことであって、
「『他の誰か』が迷惑だと『思っているかどうか』」
を答えても意味がないのだ。
Aさんの「辞めたい」気持ちを解きほぐすには、Aさん自身が、
「迷惑をかけていない」
「迷惑をかけるかもしれないが、役に立っている部分もある」
のような気持ちに変わることが大事であって、「他の誰か」がどう思っているかはその次の問題だ。
似たような経験をしたから言えることだけど、Aさんにとっては、
「『私は』辞めたいと言っているのに、私の言葉は無視されている」
と感じたのではないだろうか?
とはいえ、上役の方に悪意があったとは思えない。
Aさんを引き留めようとするあまりに、Aさんの言葉を否定し、論破しようと力が入っていたのかもしれない。
ただ、的外れな応答を続けると、時間ばかりが過ぎ、徒労感が残り、そしてAさんの中にも「聞いてもらえない」という不満が残るだけだと思うのだ。
この話し合いがどうなったのか、私は知らない。
ただ、最も良い結論が出たことをお祈りしたいと思う。
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