外科のS先生のところへ行った。
最近ちょっと気になるのだが、看護師さんはなぜ自分を名前(ファーストネーム)でおぼえているのだろうか?
待合で呼ばれるとき、近くまできて呼んでくれはる。
今日も、中待合にいると
「ふゆうさん(本当にファーストネームで呼んだ)、どうぞ」
と言われて、ちょっとドキドキした。
「先生、おはようございます」
「はい、おはよう。乳腺外科の予約が20日にあったはずだが」
「キャンセルしてもらいました。そもそもZ先生は、私のことなんか、診ている場合なのですか?」
「場合やね」
「いや、冗談じゃなくて本当に大丈夫なのですか?」
「うん。もう復活してるよ」
「そうなんや。良かった」
「今、どういう症状がある?」
「写真を撮ってきました。(見せながら)今も、血液と乳汁が出ています」
「……このTシャツは変や(笑)!」
「変やからパジャマにしてるんですっ! 汚すからいいTシャツは着られないの!」
「……それやったら、いっそのことパッドか何かあてて」
「以前、M先生に『晒し布かなんか巻いて寝たらいいのに』って言われてから、それをしているんですよ。ただ、写真に撮るときに、汚れた晒し布とかパッドを撮影すると、えげつない印象になるんですよ、写真が」
「ほぉ」
「それで、『今晩は写真に残せそうかな』というときは、あえてTシャツで寝ているの」
「変なTシャツのほうがましってことなんや(笑)」
「まぁ、そうです」
「で、乳腺外科やけどな。4月から別の病院の先生が来てくれる曜日とか、あるんや」
「そうなんですか」
「で、そこに入れるという方法もあるけど、今スケジュール的にいっぱいやし」
「あの、Z先生がいてくれないと」
「うん、確かにZさんに会いたいな」
「会いたい」
「それに、生活面では大変やろうけど、緊急性が高いということではなさそうやな」
「はい、両側なんで大丈夫だと思っていました」
「ほら、(電子カルテの画面を)見て」
「ん?」
「これ、Zさん自身がサマリーを作ってはったんやな。診るつもりでおったんやろ」
「そうだったんですね。ありがたいことです」
「次に来たときに、乳腺外来の予約もとるようにしようか。耐えられる? あ、T先生の処方は変わってない?」
「はい。変わってないのに、突然、症状が強くなって。保険の関係上は、カバサールはまだ出せるそうなんですよ。だけど、乳腺外科の診察を受けられるのなら、その後に考えようってT先生が」
「まぁ、そう言いはるやろな」
「あの、乳腺外科のことじゃない部分はどうしたら?」
「うん、何があったか話して」
「甲状腺の検査をして、ちょっと亢進気味だけど正常の範囲内とのことでした」
「おぉ……」
「で、そもそも、この検査をした理由というのが『低下しているのでは?』という理由だったんですよ」
「はい? え? どういう症状があったの?」
「寒気がすごくて」
「寒気って、ぞくぞくするということ?」
「はい。で、寒気と乳腺の症状が同じくらいの時期から出てきたのと、寝すぎてしまうこととか」
「うん」
「で、P先生から体重のことをだいぶきつく言われているんですけれど」
「体重は、どうなったの?」
「今、45.5キロなんですが、あの、P先生から今の体重ではヨットになんか乗れないって言われていて」
「はぁ? 体重は関係あるの?」
「あります。操船を体重でするのと、転覆したときに復元できないといけないから。体重というよりパワーの問題があるかな」
「ほぉ」
「それで、(ノートを見せながら)食べたものを一度書き出してみているんですよ。書いていくうちに『このタイミングでバナナの一本くらいなら食べられる』『高野豆腐をちょっと足せば大丈夫』みたいなことがわかってきて」
「おぉ」
「そこまではいいんですが、実は甲状腺の話に戻りますが、寒気が嫌でたまらなくて、ランニングとかに出るようになったんですよ。軽く走ると、1時間くらいは楽に過ごせますんで」
「うん」
「で、そうすると、食べ物の量が増えていかなければ、やせるばかりですよね」
「ははははは(笑)。消費する一方やからな」
「実際に、運動すると食べやすいかなというのは、感じてます。あと、肉があまり好きではないので、たんぱく質とかが不足しているのも、改めて感じます」
「それやったら、いっそ……」
「プロテイン、でしょ?」
「そう! 飲んだらどうや? 昔、バーベル上げやってたときみたいに、強い筋肉をつけたらいいんちゃうの?」
「はい! 実際、ダンベルを使いながら筋力をつけようとはしているんです」
「うん、そのほうがいいよ。筋肉がついたら、体重は一気に増えるとは思うんや」
「はい、そうですよね」
「ほかには、世間一般的に食べてはいけないといわれる……」
「そうなんですよ。スナック菓子とか食べましたよ、マジで」
「はははは(笑)。あと、酒やな」
「酒ねぇ。飲みたいですね」
「適度に飲めるんやったら、えぇと思うねん」
「P先生は……」
「そうか、書いて見せてるんやと、まずいかなぁ」
「いえ、でもP先生ご自身がけっこうめちゃくちゃしてはるのは、知っているし」
「はははは(笑)。まぁ、プロテインについてはPさんも突っ込まれへんと思うから」
「あの、ジュニアプロテインってあるんですよ」
「え? なにそれ?」
「成長期の子供が、吸収しやすいようなビタミンとかのバランスを考えているそうです」
「それがいいやん、それにしよう!」
「はい」
「で、前回の診察のときに『胃痛と嘔吐』といってたけれど、この問題はどうなった?」
「あのね、そのような派手な症状はおかげさまで、治まったんですよ」
「はい」
「ただ、自分が、心の折り合いをつけられるかどうか、という精神面の問題というのは、ある程度、自分で対処しなければいけないじゃないですか」
「そりゃあ、そうやけど……」
「だってね『ゴキブリが苦手だから』って家事を家族に丸投げするとか、『ねずみが苦手で出くわしたくないから、表を歩かない』とかっていうのは、恐怖心とかが強すぎるわけじゃないですか。もう、そういうレベルの問題だと思うんですよ」
「はぁあ。なんか言いたいことはわかってきた」
「であれば、身体的な症状をどうこういうより、自分の精神力の問題やと思うし……」
「俺の考えやけど、ふゆうさんが『自分で折り合いをつけなければ』と思っている間、事態が進展せずにストップしてるんよな?」
「はい」
「それもどうかと思うんで、実際に助けてくれる人がいるんだったら、その人の力を借りてもいいと思う」
「え、でも、その人を巻き込んでしまっては」
「その部分を、どう扱っていくのかをはじめにお願いしておいて、2人でやり方を統一しておくといいと思うねん。その部分を話してみないことには、助けようとしても助けられないという面もあるやろうし」
「はい」
「だから、まぁ解決できるといいな」
「はい!」
「さて、お薬やけど」
「昨日はどうだったんですか?」
「俺、昨日は不参加」
「あ、そうなんですか? T先生があんなに楽しみにしてたから」
「うん。まぁ、いろいろ事情というか人間関係があって、T先生が楽しみにしてたのはわかる」
「はい」
「でも、Mは行ったし、T先生もMと会えたんやから」
「いや、だからってS先生に会わなくていいことには、ならんよね?」
「だってなぁ、見知らぬ人がおったら、気ぃつかうやろ?」
「うん。でもM先生は……」
「だから、MはT先生と会えたからいいの!」
「だからってS先生と……」
「3人やったら行くよ、俺だって」
「そうなの?」
「上席に気を使いながら飲むのって、しんどいでしょ?」
「そうやけど、3人はいいんや」
「うん。気を使わんからな」
「愛してるの?」
「誰を?」
「T先生を」
「いや、あの、俺にとっては『おもろいおじさん』やからなぁ」
「それは愛だよ」
「飛躍しすぎやろ!」
「M先生は愛してるとかの対象じゃないんよね?」
「ない」
「でも、T先生はS先生を愛して……」
「たぶん、してないから(笑)」
「あんなに会いたがってて」
「だから、3人だったら会うの! 俺は人見知りするんや!」
「あり得ないでしょ!」
「あり得るよ!」
「あの」
「ん?」
「これもらった!」
「救命……あぁ! 講習を受けたらもらえるの?」
「そうです!」
「まぁ、あちこちに出没してなぁ」
「ははははは(笑)」
今日はガスター、サイトテックを処方いただいて帰宅する。
ありがとうございました。ぺこり。
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