精神科のN先生のところへ行った。
「こんにちは」
「はい、こんにちは。年賀状ありがとうございました」
「とんでもないです。今年もよろしくお願いいたします」
手紙を渡す。
「……胃が痛む」
「はい」
「理由を文章にすることができない」
「すみません」
「いえ、いいのですが、話すことはできますか?」
「筋道立てて話せるかは別ですが、話してみます」
話す。
「まず、胃の痛いのは、今も続いていますか? 繰り返していますか?」
「はい、我慢できないほどじゃないです。あと、胃カメラはしてもらったばっかりなので」
「そうでしたね」
「昨日、婦人科のT先生が」
「はい」
「『それをS先生にも話さんといけない』って」
「それはそうでしょう」
「え? あの、でも、何か言ってもらっても、解決のために行動するのは自分ですよね」
「そうなんですが、胃の症状が出てるんですから、説明はしないとね」
「はい」
「それに、S先生を信頼してるってことは、前から知ってるけど、今はどうですか?」
「もちろん、信頼しています」
「では、話してください」
「はい」
「で、解決の方向性として、どうしたいというのは、ありますか?」
「あの、こういうことが、2年くらい前にもあって。程度としてはその時の方がずっと楽だったんですけど」
「そうなんですか?」
「そのときに、よく事情を知っている方がアドバイスをしてくれたんですよ。それで、自分の考え・受け取り方を変えることで楽になったことはあって」
「はい」
「今思うのは、その人でも、S先生でも、何か言ってもらったとしても、考え方を変えるっていうのは、結局自分の仕事になるんだと思うんですよ。それと、今までうまくいってた時期もあったのは事実なんで、自分の受け取り方の問題ってあると思うんですよ」
「はい、そうですね」
「『今、苦しい』っていう思いは、自分の心の中にあるわけやから、それを変えないといけないと思うんですよ。相手に変わってもらうというのは、責任の丸投げなんで」
「そのために、どうしたらいいですか?」
「前に、アドバイスしてもらった内容を、もう一回活かすってことと、正直言ってその人にまた会いたい気持ちはあるけど、愚痴を言って終わりにはなりたくないんですね。それに、私が話すことでその人の困惑が増すと思うし。ただ、私の性格とかもろもろの事情を知っているその人だったら、一般論だけではない、具体的な考えの変え方みたいなのを、言ってくれるんかなって期待があります。時間はかかると思うんですけれど、今のようなハイレベルなストレス状態が10年、20年とは続かないと思うから、3,4か月とかかかる覚悟で、やっていこうかなと」
「そうですか。ではこちらも、そのつもりでいますね。S先生にはちゃんと話してくださいね」
「はい」
「ただ、僕としては、戦わずに逃げる方法もありやと思いますよ」
「はい、それは考えています。というか、現状がむしろ逃げてしまってるんで、このままうやむやになっても、それはそれでいいかなと」
「まぁ、身体的な症状が落ち着いて、あなた自身が冷静になれるまで、他のことに取り組んでおくのもいいかもしれませんね」
今日はリスミー、ハルシオン、デパスをいただく。
薬局へ行く。
「年賀状ね、ありがとう」
「いえ、いい年してすごいものを送ってしまい」
「ふゆうさんって、すごい仕事してるのね。ここではごく普通に振る舞ってくれるから、分かれへんかったけど」
「は? え? そんな……」
「頑張ってね。これからも」
「ありがとうございます! よろしくお願いいたします」
いつも丁寧に説明してくれるこの薬局が好きだから、とても嬉しかった。
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